容疑者Xの献身
先日、久々に東野圭吾の小説を読んだ。

小説はノンフィクション系の新書と違い、最初の30ページぐらいを乗り越えると、だいたいのものはすんなり読めてしまうのが良い。

容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
(2008/08/05)
東野 圭吾

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成田空港内の書店で山積みされていたので、きっと面白いに違いないと思って買ってみた。というより、選ぶ時間がなかったので、もうこの本でいいやという不真面目な選び方であったが。さすがに彼の小説は面白い。この小説でも、最後の方までトリックが分からず、トリックを知りたい読者の自分はぐいぐいと引っ張られた。

殺人を犯した母娘を隣人である高校の数学教師が手助けして、さらにその数学教師の大学時代のライバルが刑事の友達なんていうことは、実際ありえないと思う。でも、先を知りたく読んでしまった。

こんな快適なペースで読めるのなら、もう1冊違う小説でも買ってくれば良かった。
【2008/11/25 13:13 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
札幌
県庁の星を読み、久々に小説を読む勢いを得たのか、北都物語を読んだ。

北都物語 (新潮文庫)北都物語 (新潮文庫)
(1980/04)
渡辺 淳一

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これは以前、ブックオフで買い、カンボジアにも持って行ったが、1ページたりとも開かれることなく私と帰国した小説である。

小説は、一流商社の札幌支店長が、その娘と同じくらいの女性に浮気する話である。当の本人は浮気というよりも愛と認識しているようだが。そんな愛の話よりも、おいらはその舞台の方に関心があった。薄野、旭山、中島公園、豊平川など、それらの地名を聞くと、北国の凛とした空気、美しいプラタナスが植栽されている街並が蘇ってくる。

大学時代は北海道に強い憧れを持っていて、札幌で生活をしている未来の自分を想像していたもんだが、いつ、どこで、どのように、その気持ちが萎えてしまったのだろうか。

そんな自分が見た、思っていた札幌を思い出させてくれた本であった。また札幌に行きたいなあ。
【2008/10/30 00:01 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
県庁の星
都民から県民になって今年で10年目である。そういう理由ではないが、県の公務員が1年間民間のスーパーマーケットで研修するという、あらすじに引かれ、買ってしまった。

県庁の星 (幻冬舎文庫 か 23-2)県庁の星 (幻冬舎文庫 か 23-2)
(2008/10)
桂 望実



主に、県庁から出向となった野村くんと、野村くんの研修担当で、店長までが一目置く、パートのおばさんの二宮さんと、やるきのないスーパーを改革していく話。

公務員らしく、書類上の情報やデータを大切にし、それだけで方針を立ててしまう野村くんに、二宮さんが「そんな情報よりも、人を見なさい」とアドバイスするところは、なんか自分に言われているような気がした。おいらももっと外に出て、物や人を観察しないといけない。特に、出張時はなおさらである。インターネットや書籍に解決の手がかりを求めてしまうが、もっと現場の情報を見ないといけないと思った。

野村くんは、生の情報を大切にするようになってからは、活気のあるスーパーに変わったという話だ。

自分の目で見たものを大切にする習慣を持ちたいものだ。そう考えると、一昨日のような放浪の旅は良い習慣づくりの第一歩なのだ。
【2008/10/23 21:44 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
すごい人間
今日、空港で本を2冊買い、一冊を飛行機の中で読んだ。

すごい人間は、残念ながらこの世を去ってしまった。本を読んで、すごい人間だったことが分かった。
その方は宿澤広朗さん。

私が知っていたのはラグビーの監督であったということだけで、大手銀行の専務取締役であったとは全く知らなかった。

宿澤広朗 運を支配した男宿澤広朗 運を支配した男
(2007/06/02)
加藤 仁

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すごいと思ったのは、努力。新入社員の頃から、埼玉の自宅から新橋に通い、帰宅後は走ることを欠かさなかったという。銀行での業務も、ラグビーのことで言い訳をせず、ラグビーの方でも銀行での勤務を言い訳にせず、どちらも大きな業績を挙げた。

宿澤さんは、趣味で始めた登山の最中に心筋梗塞になり、この世を去った。55歳である。太く短い人生であった。

「努力は運を支配する」

おいらは大して努力していないなあと反省する今日この頃である。
【2008/09/21 18:54 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
人は仕事で磨かれる
最近、伊藤忠商事さん(←会社です)の仕事をやっている。そんなこともあり、伊藤忠のことを一端でも良いから知ってみたいという気になり、先日ブックオフで購入した。

人は仕事で磨かれる人は仕事で磨かれる
(2005/02/24)
丹羽 宇一郎

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丹羽さんは伊藤忠の現在の会長さんである。赤字経営を黒字経営に立て直したことで一躍有名になった。本を読むと、とても庶民的な方であり、親しみが持てる。

社員のボーナスの話では、成果主義を導入しているが、成績が思わしくなくても最低限の生活はできるように考えているとのこと。ある時、ある事業部の業績が悪く、その事業部に所属する社員のボーナスはほんの気持ち程度しか出なかったらしい。その時、その事業部の30代の社員から「BMWを買ったばかりなのに、こんな賞与では生活が苦しくなる」と文句があったらしい。その時の丹羽さんの反応は「30代でBMWに乗っているとは何事だ。会長の私だってカローラなのに。身の丈にあった生活をすれば、現行の給与体系でも苦しむことはないはずだ」と。

あと、最近の大人は本を読まなくなり、想像力が衰え、体系的に考えるということができなくなっていると言う。うん、確かに。私も、本を読んでいるよりも、パソコンに向かってネットで何か調べている方が長い。

来月から秋なので、もっと本を読むことにしよう。想像力や体系的に考える力をつけるというよりは、楽しむために読みたい。

で、この本を読んだ結果、伊藤忠のことはわかったのか?
・個人の意見を尊重する、とても自由闊達な会社
・新入社員をOJTですぐ海外に出させる会社
・メールを直接社長に出せる会社
・丹羽さんも入社するまでよく知らなかった会社
【2008/08/28 12:49 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
明日もまた生きていこう
本屋で気になってしまったので買ってしまった。

明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私
(2008/05/22)
横山 友美佳

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健康で、毎日仕事もでき、家族も居てという普通の生活を当然と思ってはいけない。そのように生活できることをもっと感謝しなければならないと思った。そして、もっと精一杯生きなければならないとも。命の重さも伝わってきた。
【2008/08/22 12:36 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
パンダ通
昨日、5ヶ月ぶりのパラオに向け出発した。

機内の中で「パンダ通」という本を読んだ。パンダの写真が半分、黒柳さんのパンダ話が半分という分量である。

パンダ通 (朝日新書 73) (朝日新書 73)パンダ通 (朝日新書 73) (朝日新書 73)
(2007/10/12)
黒柳 徹子; 岩合 光昭





それにしてもパンダのひとつひとつの写真に癒される。白黒のシンプルな色といい、丸々とした体といい、垂れ目といい、パンダは憎みようのない容姿をもっている。

パンダは大変に敏感な動物で、人の足音をかなり遠くからでも聞こえるらしく、野生のパンダを見つけるのはかなり難しいらしい。またオスとメスの区別が専門家でも難しいらしく、一回オスだと判断しオスらしい名前をつけたら後々メスだったことが判明したこともあったという。本では科学的に分かるというが、詳しい解説はなかった。

本を読んで面白いと思ったのは、パンダというとジャイアントパンダのことを指すことが多いが、レッサーパンダの方が先に発見されたため、それまではパンダと言えばレッサーパンダのことであった。ジャイアントパンダの発見により、それまでのパンダはレッサーパンダとなったということである。

上野動物園にパンダ様が来たら、お目にかかれればと思う今日この頃である。
【2008/06/06 13:16 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
葡萄物語
葡萄物語を読んだ。出発前に成田空港で、どの小説にしようかなと迷っていたところに、「葡萄物語」というタイトルと、解説の「大人のための恋愛小説」というフレーズに惹かれて、買ってしまった。

葡萄物語 (集英社文庫) (集英社文庫)葡萄物語 (集英社文庫) (集英社文庫)
(2002/11/20)
林 真理子



数日かけて眠る前に読もうかと思ったら、来るはずの眠気が全然来ず、読めば読むほど眠気がなくなってくる。明日の仕事のことを考えると困ってしまうのだが、眠れないものは眠れないので、物語が終るまで読み続けてしまった。

舞台は山梨の勝沼というまさにブドウの産地。そこでの変化のない日々を送っている夫婦の浮気や不倫、姑との関係等を扱った話である。

自分が登場人物の一員だったらと思いながら読むと、他人事ではない部分も多少なりともある。結局は、夫婦が協力しあい、お互いの愛情を育みながら、生きていくことが重要なのだと思う。有言不実行なのがいつも辛いが。

これまで、著者の林真理子さんについては、顔も雑誌や新聞などで知っているし、小説家であることも知っていた。しかし、これまで彼女の書く小説を読んだことがなかったので、どんな小説を書くのか知りたかった。また、ふかふか家の源流は山梨ということもあり、葡萄や桃、勝沼ワイン、富士山、富士五湖、清里、南アルプス、八ヶ岳といったものには、とても関心が高いのである。

いつの日か、違う小説も読んでみよう。

テーマ:小説 - ジャンル:小説・文学

【2007/12/19 12:46 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
生麦事件
品川から京浜急行に乗って、横浜方面に向うと、途中に生麦という駅がある。
今から145年前の1862年、この近辺で生麦事件が起きた。

これまで生麦事件という言葉だけは聞いたことがあったが、どんな事件が起きたのか全く知らなかった。また以前読んだ、ヨコハマ公園物語という本でも、この事件がヨコハマの公園の現在を運命づけたと書かれていた。この事件があって、外国人が東海道に出て乗馬や散歩などができなくなり、外人墓地のある山手のあたりの公園をつくり、外国人の憩いの場をつくったそうだ。今のヨコハマを運命づける事件とは。それを知りたくなり、この度、吉村昭著の生麦事件を読んでみた。

生麦事件生麦事件
(1998/09)
吉村 昭



この本のかなり初期の段階で生麦事件がどんな事件だったかが描写されている。簡単に表現すれば、薩摩の藩士がイギリス人4名を殺傷した事件である。この本では生麦事件そのものよりも、この事件が発端となって起こった出来事の方にページが割かれている。薩英戦争が代表例である。この戦争は、生麦事件に関するイギリスによる賠償金の請求や4名を切った藩士をイギリス人の目の前で処刑するといった要求がイギリスよりあったが、薩摩藩がこれを拒み続けて、戦争に発展した。

先日、鹿児島出身の方と飲みに行って、「薩摩の人たちはイギリスに挑んで行くからすごいですよね」とコメントしたら、「薩摩の人間はじっとしていられないんだよなあ」との言葉が返ってきた。それと関係があるのか、JICAさんの海外青年協力隊員の出身県で、鹿児島県はいつもトップ争いをしているらしい。

生麦の駅前に事件の石碑があるらしいので、是非行ってみたいと思う。吉村さんの著書によれば、資料館もあるらしい。


【2007/12/10 02:19 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
戦場パプアニューギニア
事務所の本棚にあったので、借りて読んでみた。

戦場パプアニューギニア―太平洋戦争の側面 / 奥村 正二


15万人の日本人死者があったのに、あまり知られていないパプアニューギニア(PNG)の戦いを綴る。死者の殆どが飢餓、マラリアで倒れていったという。海に出れば米軍にやられる。山に逃げるが、山には食料がない。だけど、毎日30kgの荷を背負いジャングルの中を歩かされる。このあたりのくだりは悲惨極まりない。

そんな中、現地の人たちは、日本人を助けてくれた。生還者の一人は、1万人も生還できたのはパプアニュギニア人のお陰です、と言う。ある生還者は現地人に何も報いることができなかったので、自然に日本人の周りに集まる村の子供たちのために学校を開き、簡単な算数、地理、歴史などを教えたという。現在のPNGのソマレ大統領も子供の頃に柴田さんという方から習い、大統領として来日にした際、柴田さんを探し、感動の再会を果たした。

筆者はこの戦争の悲惨さもさることながら、日本人はまだPNGの人に借りがあることを忘れてはならないと言う。

残りの滞在期間も少ないが、PNGの人たちのために頑張ろう。
【2007/11/04 19:29 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
白夜行 
久々に長編推理小説を読んだ。おとといの晩、昨晩、今夜と三夜連続で計8時間ぐらいかかった。毎晩、夜半まで眠たい目を擦りながらも、次々とページが進んでいく。

白夜行 (集英社文庫)白夜行 (集英社文庫)
(2002/05)
東野 圭吾



感想としては、なんともゾッとする小説で怖かった。全ての行動が犯人である少年に見透かされているようであり、別に悪さをしている訳ではないのに、こんな異国の地に居ても誰かに行動を覗かれているような気になってきて、背筋が寒くなる。寝るのもちょっと怖かった。お陰で初日は午前4時まで寝かせてもらえなかった。

途中から犯人像は分かってくるが、最後の最後まで読まないとなぜその犯人である少年が父親を殺したのかが分からない。最後まで結局引っ張られるのである。

この本、実は私が滞在しているホテルの部屋に宿泊した日本人観光客が置いていったものである。東野氏の本は図書館で予約しても200-300人単位で待っており、なかなか手にするまでに時間が掛かる。(←ケチらないで買えよ、という声も聞こえてきそう)だから、この本を見つけた時はラッキーと思った。

この本も大変読み応えはあった。しかし、同じ東野氏の著作でも「手紙」の方が、この本よりも分量は少なくても扱っているテーマは重く、中身は濃いように感じた。それでも久々に充実した読書ができて良かった。


【2007/09/18 22:31 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(0) | page top↑
芥川賞(ひとり日和)
ここ2週間は提案書の作成で読書も進まなかった。

まずは芥川賞作品の「ひとり日和(青山七恵著)」。息子の名前がたまたま芥川氏の名前と同じという理由で芥川賞作品を読もうと思い、春先に図書館に予約を入れておいた。予約の図書は忘れた頃にやってくる。気づいたら、本日の朝刊に次の芥川賞が発表されている。時代についていくのは難しい。

ひとり日和 ひとり日和
青山 七恵 (2007/02/16)
河出書房新社

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さて、本の方であるが、短い文章でつないでいることもあり、とても分かりやすい文体である。主人公の知寿は、彼女の母の知り合いのおばあちゃんの家に数年間居候する。そのおばあちゃんとのほのぼのとした生活を描いた作品で、時折、彼女の失恋物語も入ってくる。おばあちゃんの言葉は含蓄があり、ふかふかも「ほお」と感心してしまう。居候の現在と就職後を、内の世界と外の世界と分け、「外の世界は厳しいよね。きっと」言った知寿に対して、おばあちゃんは「世界はひとつで、内も外もないよ」と知寿に言う。きっと知寿はおばあちゃんとの生活を通して、いろんなことを学んだに違いない。

最後の方では、就職後におばあちゃんの家を出た彼女は、数ヶ月後におばあちゃんの家の近くを電車で通る。おばあちゃんの家はある私鉄の線路沿いにあり、電車の車窓からおばあちゃんの家をじっと見て、おばあちゃんの姿を探す。他人から見ればなにげない風景、それは物干し竿一本であっても、ある人から見れば、沢山の思い出がつまった風景なのだと改めて感じるふかふかであった。
【2007/07/18 11:36 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
命は大事だ
今更であるが、「半落ち(横山秀夫著)」を読んだ。“日本中が震えたベストセラー”ということだが、今頃になって読んだ。タイトルだけは知っており、気にはなっていたが、心から自分が読みたいと思うのに時間がかかってしまった。単行本になってからというものの、立ち読みする度にこの本を手に取ろうとしているのに。映画にもなり、ルビーの指輪の寺尾聡が主人公だった記憶がある。

半落ち (講談社文庫)半落ち (講談社文庫)
(2005/09)
横山 秀夫

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映画を見ていないで、どのような展開だったのか分からないが、本では警察官、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官のそれぞれの視点から、梶という現職警察官が犯した殺人について描かれている。この本の展開はさておき、アルツハイマーは自他ともに恐ろしいものであるということが良く分かった。

家族に予期せぬことが起こった場合、どのように反応するのであろうか。この本では、妻を殺した梶は、妻が殺して欲しいと懇願したため、殺してしまったということだ。

果てして、自分がもしそのような立場になったらどうだろうか、もし家内に殺してくれと言われたところで殺すことはないと言えるだろう。でも、実際、そのような場面に遭遇したら、どうなんだろうか。実際は想像を絶する苦しさに見舞われ、悩みに悩むのだろう。そんな状況に追い込まれたら、どうだろう。この本に、大変難しい問いを突きつけられた。

どれほど揺さぶられるかは分からないが、自分はどんなことがあっても一緒に生きて行くつもりである。(←要監察)

話は変わるが、現在、約200人のパラオ人が米軍に派遣されている。昨日、パラオで一緒に仕事しているパラオ人のスタッフの息子さんがイラクで亡くなったという一報が入った。どんな形であれ、かけがえのない人を亡くすことこそ辛く悲しいものはない。
【2007/06/13 23:05 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(0) | page top↑
東京タワー
「東京タワー(江國香織著)」を読んだ。出張前のお決まり、ブックオフで買った本である。以前、リリー・フランキー著の「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」も読んだが、リリーさんの方は親孝行物語であるが、江國さんの本は2人の学生の対照的な恋愛を描いた小説。

東京タワー (新潮文庫)東京タワー (新潮文庫)
(2006/02)
江國 香織

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学生時代にこの本が出版され読むことがあったなら、随分とのめり込めたかもしれない。今の自分では重ね合わせられる部分が殆どなく、少し身を引きながら、外から事の推移を見守ることしかできなかった。

著者の文体は結構好きかもしれない。登場人物の一人である透と、その相手の詩史という女性の恋愛は、大変美しく書かれている。透と詩史という名前からして、清らかであり知的な雰囲気が醸し出されている。

内容は今ひとつ楽しめなかったが、文章の表現は楽しめたという複雑な感覚が残る一冊であった。

映画化されたということだがどんな仕上がりなのだろうか、そのうち観てみたいものである。



【2007/06/03 21:56 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(1) | page top↑
神に好かれるか嫌われるか
先月、娘と図書館に行った。娘は自分の本は私に選ばせるのだが、私が読む本については積極的に「これはどう?」、「面白そうじゃない?」と薦めてくる。

それで借りることになったのが、この本である。羽生という登山家の、誰もやったことのないことをやろうという頑なな姿勢に驚く。岩登りでも敢えて登りにくい困難なルートを選んで登っていく。そして、この男は世界の最高峰エベレストを南西壁ルートを冬期に単独で無酸素(酸素ボンベを持ち込まず)での登頂を目指す。

その羽生の姿を生き様を、深町という、かつては羽生のような登山家を目指していたカメラマンの目を通して描く。

昔から「なぜ山に登るのだ?」と言えば、合言葉のように「そこに山があるから」という答えが定番である。「なぜふかふかは山に登るのだ?」という質問があれば、そんな哲学的な抽象的な回答ではなく、「空気が美味しい。眺めがきれいだ。青空も下界より、一段と美しい。ガス(←オナラではなく霧のこと)がでると、とても幻想的な世界である。高山でガスがでれば、あの世とこの世の境界を歩いているようなな下界では体験できないことも体験できる。」とただ色々と並べるだけである。

が、この本の羽生はなぜそこまでするのか?そのようなレベルの登山家の回答が「そこに山があるから」なのかもしれない。野球の天才、長島監督の「バッと振れ」という指示に、殆どの選手でも理解できないのと似ているような気もする。要は回答しても天才本人しか分からない回答なのかもしれない。タイトルからすると、羽生が神に好かれるているか嫌われているのかを知るために登っているとも言えるかもしれないが、よくわからなかった。

酸素の量が下界の3分の1となる世界を想像してみたい方はこの本がお薦めです。上下巻の2冊から成ります。あとがきも面白いです。この本を薦めてくれた娘よ。どうもありがとう。

神々の山嶺〈上〉 (集英社文庫)神々の山嶺〈上〉 (集英社文庫)
(2000/08)
夢枕 獏

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【2007/05/11 23:25 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(0) | page top↑
クライマーズハイ
クライマーズハイを読んだ。

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ
横山 秀夫 (2006/06)
文藝春秋

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自分の中学時代、高校時代、飛んで、現在の社会人生活と重ね合わせながら読んだ。自分と重ね合わせることのできる部分が多かったためか、久々に乗り込めた本であった。月曜日の仕事帰りのこと。普段は麹町から地下鉄有楽町線に乗り、永田町で一端降りるのだが、その日はいきなり本の世界に引き込まれ、気づいたら永田町の2つ先の有楽町であった。

主人公の記者生命を大きく変えることになった1985年の日航機墜落事故。中学2年生の私にも、あの事故は衝撃的であった。そして、高校1年生の夏、私は仲間たちと谷川岳に挑んだが、天候不順でその頂を踏めなかった。JR土合駅の長い階段、国道沿いの大きな慰霊碑、天候が急変した時の山の恐さ、など、あの頃の記憶が蘇ってくる。そして、職業は違えど、多くの情報を集めて、それを噛み砕き、原稿をつくるという点では新聞記者とも似ている。

本では群馬の地方新聞記者の悠木の公私にわたる格闘ぶりを綴る。元々は部下も持たない遊軍記者であった彼は、日航機墜落事故を機に、同事故の全権デスクを任された。

事故当日、彼は同じ新聞社の友人、安西と谷川岳の岩壁に挑むことになっていた。しかし、悠木は大きな仕事が入り、待ち合わせの電車には乗れなかった。当日、安西も不慮の事故で倒れ、植物状態となってしまった。

仕事では、新聞社内の古株に彼の部下の渾身の記事が潰される。共同通信の情報だけで紙面を構成し、地方新聞のメリットも活かせなくなっている社内体質に異を唱えるが、上からも横からも槍が入る。そんな中、事故の遺族が新聞社に立ち寄り、悠木の中で紙面づくりのゆらぎない方針が確立する。遺族は事故の詳細を知りたいのであり、詳報を伝えることが地方新聞の大きな使命であると。

一方で、一緒に岩壁に挑む予定だった安西が言った「クライマーズ・ハイ」「山は下りるために登る」の意味するところも、ふとした瞬間に考えていく。

悠木の、他人に流されず、嫌なことからも頭を切り替え、自分の気持ちに偽ることなく生きていく姿が印象的であった。そして久々にハイキング程度でも良いから山に登りたくなってきた。

【2007/03/21 23:09 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
ハマのまちづくり
先日、出張帰りの飛行機の中で読んでみた。

都市プランナー田村明の闘い―横浜“市民の政府”をめざして 都市プランナー田村明の闘い―横浜“市民の政府”をめざして
田村 明 (2006/12)
学芸出版社

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本書を読むと、横浜のまちについて、こういう経緯で今があるのかと新たに横浜について発見することが多々ある。

・関内付近の高速道路の地下化
・みなとみらいの実現
・港北ニュータウンの開発
・横浜ベイブリッジ建設
・横浜スタジアム建設

例えば、横浜スタジアムの建設は、当時の市長が「横浜にプロ野球チームをつくり、横浜のこどもたちがプロ野球選手の活躍を見て、大きな夢を持つようになって欲しい。横浜にプロ野球チームをつくるには、スタジアムが必要だ」との強い意思があった。

もともと今のベイスターズ(当時の大洋ホエールズ)は川崎を本拠地にしていた。球団側も横浜の方がイメージが良いので、移転に乗り気だった。そして、なぜ球場の場所を横浜公園にしたか。当時アメリカが占領していた横浜公園が、日本人がアメリカ人と野球を楽しむようになった最初の場所という、歴史性の高い場所だったかららしい。

あの周辺をアメリカが占領していたことも、日本の野球発祥地ということさえ知らなかった。歴史性が高い場所をホームにしているにもかかわらず、近年、チームが弱いのは一市民として残念ではあるが。

さて、このような発見もさることながら、この本で書かれているのはこれらの事業は簡単にはいかなかったことである。そこには、市民の利益ではなく、自分たちの利益・権限しか考えない企業や国との闘いが必ずあった。

ああ、今も昔もハマのまちづくりは難しい。
【2007/03/16 23:55 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(0) | page top↑
紫の履歴書
半分は日本の通勤中に読み、残り半分は飛行機の中で読んだ。

紫の履歴書 紫の履歴書
美輪 明宏 (1992/11)
水書坊

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以前、本ブログへのコメントでこの本の紹介があったので、昨年の12月中旬頃に図書館に予約し、約2ヶ月後に順番が私に回ってきた。

全体的な印象として、文章表現がこれまでに読んだ本の中の最も美しかった。どこがと言われると答えられず、感覚的なのであるが、本から発するオーラが美しかったかもしれない。

本書では、美輪さんを取り囲む男たちや家族たちとの生活、そして歌を中心として生計を立てていく様子が、美しい言葉で描かれている。

長崎で生まれ、被爆後の街でも生活し、美輪さんはとても辛い時代に幼少時代を過ごした。そして、美輪さんは美しい男で美声であり、多くの男が美輪さんの持つ美しさに魅せられていく。家族については、本物の母親は死に別れ、父親は冷徹な人間で家族を養うという気は毛頭なく、兄弟は依存心が強い。しかし、美輪さんの育ての母親のことを想うと家族を見放すこともできず、家族の生活を美輪さんが背負うことになる。そして、小学校時代の先生の眼にとまった彼の美しい声を、その後も磨き続け、生計の手段としていく様子が描かれている。

ただ容姿が美しいだけでなく、それを歌というものでさらに自身の魅力を高めながら、数々の困難に立ち向かっていく美輪さんが素晴らしく思えた。自身を美しく保つこと、自身の魅力を高めること、困難に果敢に立ち向かうこと、どれひとつ今の自分には大きく欠けていることも痛感し、今後少しずつ自分を高めることができればと思った。思うは易く、言うも易く、行うは難し。。。

PS 今月、本書の新装版が出版されたそうです。
【2007/03/08 19:09 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(1) | page top↑
ハマのボス
出版されてから2年経ってしまったが、ハマ市民として、行政のパートナーとして、この本を読んでみた。

横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想 横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想
南 学、上山 信一 他 (2004/12/22)
東洋経済新報社

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38歳の若さで、日本一人口の多い都市の市長。職員は教員も含めると5万人になるという。人の数だけ見れば、私の会社の25倍もの大きさの規模の会社みたいだ。

さて、2002年に中田市長になってから、何が変わったか?

私の目に見える変化は以下のとおり。
・ごみの分別が始まった。
・図書館の本の予約がインターネットでできるようになった。
・区役所に案内カウンターができた。
・ハマジンという市の雑誌ができた。
・民間企業の広告が増えた。HPや封筒など。

そして、この本を読むと、変化をどのように起こしてきたかが、おぼろげに見えてくる。市民の満足を与える行政サービスの提供、公務員もコスト意識を持つこと、情報公開を徹底時に行うことなどなど。民間企業では当然のことであるが、以前のハマにはなかった。

以前は、とにかく開発、開発だった。みとなとみらいのように外部へのイメージが良い施設には金を掛けるが、歩道といった市民の身近な施設へはお金を掛けて来なかった気がする。

今後の行政サービスの改善も楽しみです。私の希望としては、市立図書館の本を地区センターでも貸し出せるようにして欲しい。さすがに、市立図書館(港北区)までの片道4kmという道のりは長い、運動不足解消には良いのだが。



【2007/02/20 01:29 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
手紙
手紙を読んでみた。

手紙 手紙
東野 圭吾 (2006/10)
文藝春秋

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妹と実家のかあちゃんから強い推薦があった本だが、本当に面白い本であった。

次の展開が気になり、自分だったらどうであろうかと考えさせられるという意味で、内容が大変充実した本であった。笑えるという意味の面白いではない。笑える場面は皆無だった。

この本を読み、どんなに苦しくても、悔しくても、決して他人を殺してはならないということを改めて痛感した。この本では、殺人を犯した兄を持つことにより、何の罪もない弟とその新しい家族が、世間から冷たくされる様子がありありと書かれている。そして、被害者の家族も辛い日々を過ごしてきたことも。

本を読んで、思い出してしまうのは、やはり先月起きた区内のおそば屋さん殺人事件である。ご近所の掲示板によれば、犯人の家族はさすがにもう近所にはいないらしい。そして、先日お蕎麦屋さんの前を通りかかったら、しばらく休業との貼り紙があった。「殺せば家族が幸せになると思った」という犯人の言葉があったが、この殺人により誰も幸せになった者はいない。むしろ不幸になって、辛い日々を送っているのである。
【2007/02/08 23:59 】 | ぶっくぶっく | コメント(4) | トラックバック(0) | page top↑
あめりかよ
先週末、港北区の図書館に行き、借りたのがこの本。

アメリカよ、美しく年をとれ アメリカよ、美しく年をとれ
猿谷 要 (2006/08)
岩波書店

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この人の著作を読むのは10年ぶりである。著者の猿谷さんはアメリカ史の学者である。10年前はアメリカを知ろうとこの人の本をよく読んだものである。図書館で、猿谷さんの名前を見つけ、懐かしさを感じ、借りることにした。

この本で驚いたのは、やはり巨額の軍事費である。以下、猿谷さんがある博士の論文から引用した文を引用する。
「仮に1日100万ドルをキリスト生誕の日から使ったとしても、その総額は過去7年間の軍事費(1兆円6000億ドル)のわずか半分にも満たないのである。」

これはレーガン政権時代の話。それにしても、人の命を奪うための巨額の軍事費を、途上国の支援に当てていればもっと貧困ゆえに亡くなろうとしている命が救えると思う。

現在でも、アメリカの行いは異常である。すでにイラクで命を落とした米国人兵士の数は、アメリカ史上最悪と言われるハリケーンカトリーナの死者数を超えている。またこれは仕事で聞いた話だが、イラク南部の病院がアメリカの爆撃で破壊されたが、今、アメリカがその病院を建て直しているという。

本を読み終わり、やはり今の息子ブッシュは好きになれない。見るからに戦争好きそうである。女性とのスキャンダルはあったものの、クリントン政権の方が好きだった。クリントンの後、ブッシュが当選してしまった一期目の選挙の時、ゴアが勝っていれば、今の世の中はもう少し平穏だったのかもしれない。環境問題にも関心を持って取り組み、CO2の排出量は今よりも減っていただろう。

もっと賢いリーダーがでてこないものか。次の大統領はどうアメリカを導き、世界を変えるか。
【2007/02/03 01:17 】 | ぶっくぶっく | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
年末年始に読んだ本(その2)
テレビでも放映されていたが、佐賀のがばいばあちゃんシリーズを一機に読んだ。

とても平易な言葉で書かれており、読みやすかった。2時間で1冊、6時間で3冊読める。そして、何と言っても、ばあちゃんが面白かった。面白い場面、ばあちゃんの名言は沢山あるが、一例として以下の話を紹介したい。

小学生の主人公が「ばあちゃん、俺、剣道やりたい」と、ばあちゃんに許可を得る。「好きにするがよか」とばあちゃんは答える。「じゃあ、明日、先生にどんな用具を買えば良いのか聞いてくる」と主人公は言うと、ばあちゃんは先程の言葉をあっさりと撤回してしまう。「用具が必要なのか。じゃあやめろ。うちには買う金がなかけん」と。主人公は不満げに「えーっ。何か運動したいよー」と言うと、テンポの良い、ばあちゃんは「じゃあ、走れ。あれは金が掛からんから良い。靴を履くと磨り減るから、はだしで走れ」と、すぐに答えるのであった。

物質的には貧しい暮らしであるが、ばあちゃんはいつも明るく元気に生活を送っている。物はなくても、豊かな心で満たされているばあちゃんだ。

今思えば、うちのばあちゃんもいつも笑顔だった。そして、豪快であった。山でマムシを叩き殺し、そのマムシをチャンピオンベルトのように肩に掛けて山から下りてくるのであった。普通の女性なら「キャー、マムシ」と叫ぶのだろうが、うちのばあちゃんはそんなことは言いもしないし、思いもしないだろう。むしろ、「おっマムシだ、しめしめ」と思っていたことだろう。

本を読み、そして今は亡きばあちゃんのことを思い、年末・年始は、ばあちゃんパワーに敬服した。

佐賀のがばいばあちゃん 佐賀のがばいばあちゃん
島田 洋七 (2004/01)
徳間書店

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がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい! がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!
島田 洋七 (2005/01)
徳間書店

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がばいばあちゃんの幸せのトランク がばいばあちゃんの幸せのトランク
島田 洋七 (2006/01)
徳間書店

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【2007/01/19 12:10 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
年末年始に読んだ本(その1)
ブログの更新がなかなか進まない日々が続いている。やはり、ブログを作成する時間を日本で確保することは難しい。やはり手元に常時、ネットに接続できるようなパソコンを持ち歩いているわけではないからだろうか。

さて、年末から年始にいくつか本を読んでみた。本日はその第1冊目を紹介したい。図書館で借りた本なので古い推理小説だが、「棟居刑事の断罪(森村誠一著)」である。

棟居刑事の断罪 棟居刑事の断罪
森村 誠一 (2000/05)
角川書店

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この本で面白くないのは犯人がすぐに分かってしまう点だが、その反面、犯人の心理描写と刑事の犯人への接近の描写は面白かった。

そして、もっと面白かったのは、102ページから始まる、犯人(主婦:瀬川絵里子)とこの時点では犯行を知らない旦那(瀬川)の夫婦の会話である。このページの描写を読み、世間一般の新婚夫婦って、本当にこんな会話を交わしているのだろうかと思った。

それでは、ちょっと102ページに戻ってみたい。以下、引用。

しかし、それでは運命共同体とは言えないかもしれない。それでも自分(絵里子)が抱え込んだ危険性を夫に分けてはならない。
「ほら、また何か考え込んでいるじゃないか」
瀬川に言われて、絵里子ははっと我に返った。
「ちがうのよ。あなたと一緒にいる幸せにうっとりしていたのよ」
「きみにそう言われると嬉しいよ。このごろ友人からよく冷やかされるんだ」
「どんな風に」
「新婚ほやほやの湯気が立つと言うけれど、きみには幸福のオーラが発しているとね」
「湯気ではなくオーラだなんて、凄いわ」
「そうだよ。きみがそのオーラの光源なんだよ」
「二人が一緒になってオーラの光源になっているのよ」
「ぼくはどんなことがあってもきみを離さないよ」
「離れろと言われても離れないわ」
「その言葉をもう一度言ってくれ」
こんな会話の間に、夫婦の抱擁に移っていく。


瀬川の「その言葉をもう一度言ってくれ」と言う表現が、笑いに堪えていた私をくすぐるのであった。

全体として面白い推理小説である。これまでに読んだ森村誠一氏の推理小説はいまのところ全て面白かった。
【2007/01/15 12:44 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
風に舞い上がるビニールシート
「風に舞いあがるビニールシート(森絵都著)」を読んだ。
風に舞いあがるビニールシート 風に舞いあがるビニールシート
森 絵都 (2006/05)
文藝春秋

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短編小説集の一部であり、「風に舞いあがるビニールシート」は6つあるうちの最後の短編小説である。実は一冊丸ごとこのタイトルのものかと思っていた。

しかし、他の短編小説も「風に舞いあがるビニールシート」に劣らぬ内容であった。ケーキ屋職人の話、大学(夜間)の文学部の学生の話、仏を修復する職人の話、クレーム処理にあたる若手社員の話など、話の内容も様々な分野に亘る。

「風に舞いあがるビニールシート」は、国連難民高等弁務官事務所で働く夫婦の話である。夫は米国人で、フィールド(現場)志向で殆ど日本に居ない、アフガニスタン、コンゴなどの戦闘地域で難民の救済にあたる。一方、日本人の妻は国連機関の東京事務所で広報担当として働き、夫のフィールド志向をわかってはいるものの、一日でも良いから夫には日本に居てもらい家庭を二人で築いていきたいという願望を持つ。そして、子供も欲しいと願う。

夫は子供をつくる余裕があるなら、一人でも多くの弱者を救いたいという気持ちが強く、夫婦の価値観が少しずつズレていく。そして、二人は離婚する。その直後に、アフガニスタンで撃たれ死ぬ。離婚したと言え、やはり愛していたのだろう。毎晩が悲しみの涙を流す日々であった。そして、共同通信の記者から、どのように撃たれ死ぬかを教えられる。夫は暴行を加えられそうになった少女をかばったのだった。

妻の方は上司からアフガニスタンへの転勤について打診を受け、回答に窮していたいが、夫の最後を知ることにより、その打診を受け入れる。

それにしても、現地での弱者の一人一人を救う仕事が、風に舞い上がったビニールシートを取ろうという作業に似ている表現がある。本当に的を得ている表現だと思った。渾身の力で舞い上がったビニールシートを取ろうという姿、それでも取れないシートもあることは、まさにできる限りのことを尽くしても、全員の命を救うことはできないという無念さを暗示しているかのようだ。
【2006/12/27 12:57 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
人生ノートとメリーゴーランド
今回の滞在中に、先日紹介した「敵手」に加え、さらに2冊の本を読んだ。

(1)「人生ノート(美輪明宏著)」
人生ノート 人生ノート
美輪 明宏 (1998/04)
Parco

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まずは「敵手」と一緒に港北区の図書館で借りた「人生ノート(美輪明宏著)」である。美輪さんと言えば、オーラの泉である。江原さんのスピリチュアル系の本は親類の紹介もあり、たまに読むのだが、美輪さんの本はその存在すら知らなかった。江原さんの場合、キーワードは自分で播いた種は自分で刈り取らなくてはならないという「カルマの法則」であるが、美輪さんは「正負の法則」である。正負の法則の身近な例は「人間、苦もありゃ、楽もある」。言われてみれば当たり前なのだが、苦しい時も楽しい時もその法則を意識しなくなっている人が多いのかもしれない。自分も含めて。

(2)「メリーゴーランド(荻原浩著)」
メリーゴーランド メリーゴーランド
荻原 浩 (2006/11)
新潮社

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荻原浩さんは、8月頃に紹介した「神様からひと言」の著者であり、メリーゴーランドも多くの笑いを期待しながら読んだ。が、そんな期待は簡単に裏切られた。メリーゴーランドにも、笑いもあるにはあったが、切なさの方が多く残った。

駒谷市(架空の自治体)の職員であるの主人公の遠野啓一が市営の遊園地(駒谷アテネ村)の再建を任され、仕事をやっているうちに再建に使命感を覚えてきた。頭の固いアテネ村の理事たちにくだないことで邪魔されながらも、啓一は自身のアイデアと仲間の協力を得ながら経営を改善していく。しかし、選挙で市長が変わり、経営が改善されつつあるアテネ村が閉鎖に追い込まれる。アテネ村を閉鎖するのが新市長の選挙時の公約だったためだ。

アテネ村が取り壊される直前のある晩に、啓一がアテネ村再建のためによその遊園地からもらってきたメリーゴーランドに家族と乗る。メリーゴーランドは街の夜景を見下ろせる丘の上にあり、夜のデートスポットとする予定だった。啓一は、そんな自身の企画を実現できなかったやりきれなさを、子どもたちと楽しむことによって紛らわすところで物語は終わる。

印象的だったのは、メリーゴーランドに乗って見る夜景に対する啓一の表現である。
(ちっぽけな街だと思っていたが、こうして見ると広くて、大きな灯だった。冷ややかで、温かくて、少し哀しくて、そしていとおしい灯だ。)

そして、私の読後感も、啓一が見た夜景のようだった。一方で、タイミングが良かったのか悪かったのか、これも「正負の法則」なのかもしれないと、やや場違いなことも頭によぎった。
【2006/12/12 19:00 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
敵手
「敵手」(降旗学著)を読んでみた。
敵手―小説横浜高校野球部 敵手―小説横浜高校野球部
降籏 学 (1999/03)
講談社

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横浜高校野球部がどうやって今日のように強くなっていったのかという話で、渡辺元智監督と小倉清一郎野球部長の足跡でもある。当然、愛甲や松坂のことも触れている。小倉部長が松坂を初めて見た時の話が興味深い。小倉部長が江戸川南シニアに出向き、有力選手を探していた時の話しである。野球少年だった頃の松坂大輔の話である。以下引用。

「それよりよ、監督さん。向こうでピッチング練習しているあの子だけどよ、何なんだい、ありゃ」
「ああ、あれか。気になるかい」
 小倉に促され、大技(江戸川南シニア監督)もブルペンを見やった。小倉には、とてもピッチャーをやる選手には見えなかった。身長もさほど高くない。ころころとしていて、まるで漫画のアンパンマンみたいだった。どちらかといえば、キャッチャー向きの体型だ。それ以上に小倉を呆れさせたのは、とても名門チームの投手とは思えないフォームの悪さだった。
「気になるもならねえも、滅茶苦茶な投げ方をしているなと思ってよ。よくあんなのにピッチャーさせているな、何年生だい」
「中学一年生だよ。ああ見えて、リトルの全国優勝を経験しているんだ。中一にしちゃいい球を放るんだた、ご覧のとおりでね。地肩の強さだけで放っている。バッティングは申し分ないから外野手に転向させたいと思っているんだが、なかなか頑固なやつでね。ピッチャーじゃなきゃ野球を辞めると言い張るんだ。」
「へえ、一丁前に心臓だけは強そうだね。名前は何てんだい」
「松坂だ、松坂大輔」

本では、その後、渡辺監督と小倉部長が松坂を怪物に育てていく話、松坂が2年生の夏に県大会で大暴投し予選落ちする話、翌夏のPL学園と延長17回まで闘い春夏連覇を成し遂げた話もある。が、本では、渡辺監督の少年時代の話、そして彼が監督になってから小倉部長とどのように野球部を強くしていったのかという話に筆の力が入っている。

実は、この本はちょっとだけプレミアがついており、古本でも定価(1,600円)より高い値(1,986円)がついている。そのため、なかなか本屋でも、ブックオフでも見つけることができない。しかし、さすがは横高ファンの多い横浜市である。横浜市立図書館には5・6冊の蔵書がある。ということで、図書館で借りたものを読んだ。

あとは、この本を失くさぬよう、大事に図書館にお返しするのみである。
【2006/12/09 18:54 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
懐かしのバンコク
懐かしのバンコクが舞台のストーリー。だからこの本を手に取った。

バンコクで結婚直前に二股をかけてしまった男の生活を大変美しく描いている。さすがは辻仁成である。話は「マディソン郡の橋」にどことなく似ているような感じもした。

スクンビット、シーロム、トゥクトゥクという響きも懐かしかった。でもバンコクを舞台としながらも、バンコクの熱気やタイの仏教文化を感じさせるような背景が男女の性愛生活に追いやられてしまい、ストーリーに期待したほど溶け込んでいなかったのが残念。

サヨナライツカ サヨナライツカ
辻 仁成 (2002/07)
幻冬舎

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【2006/11/03 23:22 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
情けないねぇ
今日は「1リットルの涙」を読んだ。

1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記 1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記
木藤 亜也 (2005/02)
幻冬舎

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難病と闘う少女の日記である。段々と、歩けなくなり、立っていることもできなくなり、字も書けなくなり、言葉も話せなくなっていくという恐ろしい病気である。それでも、少女は毎日毎日、自分は他人のために何ができるかということを考えながら、必死に前向きに生きてきた。

この日記を読んでみると、自分がいかに情けないかを痛感した。歩いて、立って、走り、運動をすることができる体を持っていながら、運動もろくにしないでベッドに寝てボーッとしている。他人のために何ができるのかということすら、殆ど考えずに日々過ごしてきた。

そして、かなり自分勝手に生き、他人の立場や気持ちというものもあまり考えてこなかったと思う。他人を思いやれない自分を変えていきなさいということを教えてくれた本のような気がする。
【2006/10/29 20:50 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
ヘビの舌
時代遅れかもしれないが、ようやく「蛇にピアス」を手に取った。直木賞受賞作で、著者は当時19歳であった。今はもう22歳ぐらいになっているのだろうか。約ひと回り違う年齢の人は一体どのような小説を書くのだろうかと思ったので、つい買ってしまった。本が薄かったこともあるが。

蛇にピアス 蛇にピアス
金原 ひとみ (2006/06)
集英社

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主人公のルイは、蛇のような2つに割れた舌に魅力を感じ、その舌を実現するために、舌にピアスの穴を開け、ゆっくりと時間をかけながら穴を舌の先端に向かって広げていく。著作ではこの舌を「スプリットタン」と表現している。

また、ルイは眼のない龍と麒麟(きりん)の刺青も入れる。食事をろくにとらず、ビールや日本酒ばかりがぶ飲みしている。ルイにはアマというスプリットタンを持つ同棲相手がいるが、ピアスの穴あけや刺青入れを請け負うシバさんとの情事にふける。そして、アマは殺される。アマが殺されて初めて、頼りないと思っていたアマを愛していたことを悟る。

小説の中には、自分が目にしたことのない痛々しい世界が広がり、ある意味、刺激的であった。でも、自分の現実から大きく掛け離れており、終始、外野席にじっと座ったままストーリーを見ていた気がする。若者の現実には、このような世界がすぐ近くに広がっているのかもしれない。そして、ただ単に舌にピアスを入れるのは、もはや時代遅れなのかもしれない。

それにしても、実際にスプリットタンの若者は存在するのだろうか。スプリットタンが何たるかを知るだけでも自分には大きな収穫であった。
【2006/10/26 22:24 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
三流
今回の出張にはどんな本を持っていこうか。パッキングの関係で、今回も出張の前々日にブックオフT島西店に立ち寄った。最近は、なぜかスポーツ選手の本を読みたく、中でも野球の本を欲している。そして、野球選手について語る本が並ぶコーナーに行った。やはり、一番多いのはイチロー選手の本である。イチローの次に多いのはヤンキースの松井選手の本である。


そして、どれにしようか迷う私を射止めたのは、なんと、今はすっかりタレントになってしまった長嶋一茂の本である。タイトルは「三流」。

三流 三流
長嶋 一茂 (2001/05)
幻冬舎

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彼のプロとしての成績も一流とは言えないものであったが、この本を読んで、彼が周囲からの期待に押し潰されないよう必死に生きてきたこと、むしろその期待をバネにして懸命に生きてきたことがひしひしと伝わってきた。三流とは彼がやや自虐的に付けたタイトルのような気がする。

彼の夢は親父を超える選手になることであった。でも親父が偉大過ぎたため、彼は小学生の頃からマスコミに叩かれ、大好きな野球に心から打ち込むことができなかった。そして、一番吸収力の高い小学生の段階で彼は野球を辞めてしまう。でも彼は親父を超える選手になることだけは諦めていなかった。

彼が野球を再開するのは高校生になってからである。高校時代は甲子園にあと一歩のところで出られなかったが、立教大学に進み、ようやく彼の活躍がプロのスカウトに目に留まるようになる。この間の努力はただならぬものがあった。

プロに入ってからも彼の夢は変わらないだけでなく、その夢を実現する自信があった。しかし、その自信がどこかで慢心となっていたようだ。そして、練習しても練習しても、結果が伴わない。さらには、持病の肘の痛みが彼を襲い、ボールもろくに投げられなくなる。最後は、最も尊敬する親父でもある監督から、戦力外通告を受けることになるのである。父茂雄も、親としてではなく監督として、心を鬼にして、言わざるを得なかったのだろう。何とも辛い一幕である。

この本を読むまで、長嶋一茂は父茂雄から受け継いだ才能だけでプロになったものとばかり思っていたが、実は全くその逆であった。
【2006/10/17 13:42 】 | ぶっくぶっく | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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