|
今回の滞在中に、先日紹介した「敵手」に加え、さらに2冊の本を読んだ。
(1)「人生ノート(美輪明宏著)」
まずは「敵手」と一緒に港北区の図書館で借りた「人生ノート(美輪明宏著)」である。美輪さんと言えば、オーラの泉である。江原さんのスピリチュアル系の本は親類の紹介もあり、たまに読むのだが、美輪さんの本はその存在すら知らなかった。江原さんの場合、キーワードは自分で播いた種は自分で刈り取らなくてはならないという「カルマの法則」であるが、美輪さんは「正負の法則」である。正負の法則の身近な例は「人間、苦もありゃ、楽もある」。言われてみれば当たり前なのだが、苦しい時も楽しい時もその法則を意識しなくなっている人が多いのかもしれない。自分も含めて。 (2)「メリーゴーランド(荻原浩著)」
荻原浩さんは、8月頃に紹介した「神様からひと言」の著者であり、メリーゴーランドも多くの笑いを期待しながら読んだ。が、そんな期待は簡単に裏切られた。メリーゴーランドにも、笑いもあるにはあったが、切なさの方が多く残った。 駒谷市(架空の自治体)の職員であるの主人公の遠野啓一が市営の遊園地(駒谷アテネ村)の再建を任され、仕事をやっているうちに再建に使命感を覚えてきた。頭の固いアテネ村の理事たちにくだないことで邪魔されながらも、啓一は自身のアイデアと仲間の協力を得ながら経営を改善していく。しかし、選挙で市長が変わり、経営が改善されつつあるアテネ村が閉鎖に追い込まれる。アテネ村を閉鎖するのが新市長の選挙時の公約だったためだ。 アテネ村が取り壊される直前のある晩に、啓一がアテネ村再建のためによその遊園地からもらってきたメリーゴーランドに家族と乗る。メリーゴーランドは街の夜景を見下ろせる丘の上にあり、夜のデートスポットとする予定だった。啓一は、そんな自身の企画を実現できなかったやりきれなさを、子どもたちと楽しむことによって紛らわすところで物語は終わる。 印象的だったのは、メリーゴーランドに乗って見る夜景に対する啓一の表現である。 (ちっぽけな街だと思っていたが、こうして見ると広くて、大きな灯だった。冷ややかで、温かくて、少し哀しくて、そしていとおしい灯だ。) そして、私の読後感も、啓一が見た夜景のようだった。一方で、タイミングが良かったのか悪かったのか、これも「正負の法則」なのかもしれないと、やや場違いなことも頭によぎった。 |
||||
|
|
|
| ホーム |
|

